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サイクリングレポート 
宇井ちゃんが走る!~信越五高原ロングライド編~

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「しんどいけど、やみつきになる!」と参加者がみんな口をそろえる「信越五高原ロングライド」。今年で3回目を迎えるこのイベントはリピート率が高く、またエントリー数も年々伸びているそうです。何がそんなに参加者を惹きつけるのでしょう。JCA親善大使のワタシ、宇井愛実がその魅力をさぐりに信越五高原へ行ってきました。走りどころ・見どころをばっちり紹介します!


 野尻湖を囲むようにして点在する斑尾山(1382m)、妙高山(2454m)、黒姫山(2053m)、戸隠山(1904m)、飯縄山(1917m)は古くから「北信五岳」と呼ばれ、地元の人々に親しまれ、また篤い信仰を集めてきた山々です。その山麓に広がる斑尾高原、妙高高原、黒姫高原、戸隠高原、飯綱高原は、長野と新潟の県境に位置し、信越五高原とも呼ばれています。

 原生林が広がる雄大な自然。神々のすむ歴史と神秘の山々。水田や蕎麦畑が広がる山里風景。そして、春のトレッキングから冬のウィンタースポーツまで一年を通して賑わう国内有数のレジャースポットとしても知られています。

 私がここを訪れたのは6月でしたが、山々は新緑がまぶしいくらい。妙高山はまだ雪をかぶり、陽の光があたってキラキラと輝いていました。これが9月だったら紅葉真っ盛り! 赤と黄色の絨毯が敷かれた山々、すごくきれいでしょうね。

妙高山の頂はまだ雪をかぶってキラキラと輝いていました。

 さて、この信越五高原の魅力をまるごと体感しながら走る、それが「信越五高原ロングライド」です。5つの高原を周回し、その総走行距離はじつに125キロ! しかも山越えなのでアップダウンの連続です。最低標高地点(原通りAS)と最高標高地点(戸隠神社)の差はなんと1000メートルもあります。これを9時間以内に完走するのがルール。つまり、そんじょそこらのヒルクライムレースにも負けないくらいのコース設定なのですが、事務局の方にうかがうと一昨年、去年と完走率は90%以上だそうです。みなさん、すごい!

 お話によると、最初はあまりのアップダウンに面食らうそうですが、しんどさがピークに達すると、パッと素晴らしい景色が開ける。それで力をもらってまた走る……、その繰り返しなのだとか。コースはたんに広い国道や県道を通るだけでなく、細い山道など、「え、ここも走るの?」って道もあえて入れているそうです。それもこれも、「この五高原の素晴らしさをどうやったら体感してもらえるか」を事務局の皆さんが考え、練りに練った結果なのです。

 そう聞いたら、わたしも早く走りたくなってきました! ただ、さすがに125キロ完走はちょっとムリそうなので(笑)、ポイントをしぼって走りどころ・見どころをレポートさせていただきます。

■走ったコースはこちら

(参考)全体のマップ、コース標高図
http://shinetu5ride.org/course/index.html


セクシーステージ・斑尾高原 童謡「ふるさと」の生まれた山

 信越五高原ロングライドは5つの高原を回るのがルールですが、スタート地点は斑尾高原か妙高高原のどちらか好きなほうを選べる「ショットガン方式」。わたしはとりあえず斑尾から回ってみることにしました。

 スタート地点となるのが斑尾山(1382m)は、北信五岳の中で最も東側にあります。5つの山の中ではいちばん標高が低いのですが、尾根が複雑に張り出した形には風格を感じますね。ちなみに童謡「ふるさと」で「うさぎおいしかの山」は、じつはこの斑尾山のことなんだそうです。知ってました?

 近年はスキー場開発などで知られるようになりましたが、今回のイベントのスタート地点も斑尾高原スキー場の駐車場。ここから125キロの最初のひと漕ぎがはじまります。ちなみにこの斑尾高原は「セクシーステージ」と名付けられています。はて、なにがセクシー? それはあとでのお楽しみです。

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斑尾高原スタート&ゴール地点、斑尾高原スキー場第7駐車場です。


 さて、このステージはスタート後にしばらくは気持ちのいい下りが続き、その後、道はだんだん細く険しい上り坂に。ロングライドの最初の洗礼を受けながら、そのまま深い山道をひたすら上っていきます。途中、1000年の歴史を持つという樽本集落を抜け、少し行くと遠くに日本海が見えるというビューポイントに到着します。標高はすでに1000メートル近く、見渡す山々は緑したたる絶景です。あいにく取材当日は曇りで海までは見えませんでしたが、イベントがおこなわれるのは秋晴れの9月。山を登り切ったごほうびに、きっと最高の景色が見えるはずです。

鬼のステージ・妙高高原 最高の紅葉サイクリングをここで!

 次に回ったのが日本百名山のひとつ、妙高山(2545m)。長野と新潟の県境に位置し、北信五岳の中では最も標高が高く、しかも今も活動を続ける活火山です。地獄谷と呼ばれる場所では今も噴気活動があり、裾野にはたくさんの温泉地もあります。活火山だけあって荒々しい、男性的な印象を受けますが、地元の人によると妙高の紅葉はほんとうに美しく、北信地域でも随一だとか。9月、その紅葉の中を走るのはさぞ気持ちがいいでしょうね!

 田園地帯を抜け、少しずつ妙高山を目指して上っていくと、妙高大橋の下に突然、湧き水を発見。さっそくのどを潤して、パワーをもらいました。この湧き水、「大田切の湧き水」と呼ばれ、かつては参勤交代をするお殿様も飲んだとか。新潟県の名水百選にも選ばれてます。

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妙高山に向けて快走。気持ちのいい田園地帯の中を走ります。

「大田切の湧き水」は口当たりの柔らかいお水でした。おいしかったです!
その2(拡大画像)

 その後もしばらくだらだらと妙高山に向かって上りが続くのですが、あるカーブを曲がったとたん、スリップ防止のために路面に溝が切られた200mの上り坂が出現。「鬼の洗濯板」と呼ばれる場所です。

 じつは、この妙高高原ステージは通称「鬼のステージ」。「オニのようにたいへんだから?」だと思っていたのですが、理由はこれでした。わたしもさっそく上ってみましたが、かなりしんどい! 摩擦が大きくて思ったほど進んでくれません。ここは参加するみなさんにとってもかなりの難所だと思います。

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これがウワサの「鬼の洗濯板」。勾配はそれほどでもありませんが、路面摩擦が大きく、かなり力をロスしました。

その2(拡大画像)

 さて、鬼をなんとかクリアしても、急勾配の坂はまだまだ続きます。ふうふうあえいでいると、急に現れたのが温泉街。「赤倉温泉」です。ひなびた街並みがなかなかで、ここを自転車で走り抜けるというのも不思議な感覚。ちょっと疲れたのでここで一休みして、最後のもうひとふんばり。妙高高原の池の平を目指します。

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信越の名湯「赤倉温泉」。スキーの宿としても有名で、のどかな温泉街が続いています。

赤倉温泉で温泉まんじゅうをいただきました。あんこがなめらかですごくおいしかったです。
池の平のイベント実行責任者の宮田さんと記念写真。

メルヘンのステージ・黒姫高原 気持ちのいい木立の間を抜けて

 妙高高原の池の平は、ロングライドのもう1つのスタート地点です。じつは妙高高原は、水芭蕉が咲く「いもり池湿原」、高山植物の宝庫「黒沢池湿原」など、日本でも有数の高原湿地帯を有しています。池の平すぐ近くにあるのが「いもり池湿原」。ちょっと立ち寄ってみると、いもり池の水面には「逆さ妙高」が映ってとてもきれいな場所でした。

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妙高高原・池の平はここからスタート。ショットガン方式のもう1つのスタート地点です。

池の平のすぐ近くにある「いもり池」。近くに無料の足湯もありました。疲れた脚を癒すのにいいかも?

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 さて、妙高高原の次に向かうのが黒姫高原です。このステージは極端なアップダウンがないそうなので、きっと気持ちよく自転車を進められると思います。

 走っていると、前方に見えてくるのが黒姫山(2053m)。妙高の男性的な荒々しさに比べると、丸みをおびた姿がすごく優しげで女性的です。黒姫というお姫様の悲話伝説があり、それが山名の由来になったのだとか。この山は北信五岳の中心に鎮座し、「信濃富士」とも呼ばれるそうです。

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気持ちの良い道を走っていくと前方に丸みを帯びた山が見えてきます。これが黒姫山です。


 黒姫高原は避暑地としても人気で、木立の中におしゃれなペンションや別荘が多く建ち並びます。そのため、このステージは別名「メルヘンのステージ」とも呼ばれています。唐松や白樺などの林が、降り注ぐ木漏れ日がほんとうに気持ちいいコースでした。

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風が気持ちいい! まさに高原サイクリングを満喫できるコースです。

 コースは黒姫高原スノーパークをから先はしばらく下りが続き、そのまま市街地に入ります。そこで「えんめい茶」で知られる黒姫和漢薬研究所さんにピットイン。一休みさせていただきました。ロングライド当日、会社の前にAS(エイドステーション)を出して、お茶を提供してくれるそうです。ここに立ち寄っておいしいお茶をいただけば、きっと元気がチャージできますよ!

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黒姫和漢薬研究所さんで休憩させていただきました。会社の敷地内で薬草を自社栽培しているそうです。株式会社黒姫和漢薬研究所(tel.026-255-3125)(参考)http://www.kwk-kurohime.com/

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神々のステージ・戸隠高原 戸隠神社で悠久の歴史を想う


 黒姫の次に目指すのが戸隠山(1904m)です。戸隠山は戸隠連峰の主峰で、遠くからみるとノコギリの歯のように、いくつもの険しい峰が続いているのがわかります。

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戸隠山は遠くからもその険しいノコギリの歯のような山容が特徴です。

 この戸隠、昔からおそばや竹細工で有名ですが、最近はパワースポットとして人気で訪れる人が急増しているそうです。戸隠の名は、天照大神が天の岩戸に隠れたときに、天手力雄命(たじからをのみこと)がその岩戸をここまで投げ飛ばしたという伝説によります。ここには奥社、中社、宝光社、九頭龍社、火之御子社の五社からなる戸隠神社があり、創建以来2千年以上の時を刻む、まさに神の山。日本でも有数の修験道の山としても知られています。

 ロングライドではこの戸隠神社を通る道もコースに入っています。それまでの大自然の素晴らしさから、一転、神々の歴史を体感するコースでもあるわけです。

 さて、とはいえこの戸隠は簡単なコースではありません。なにしろ黒姫から戸隠まではもう上り、上り、上り! 神様からの試練でしょうか。じつはロングライドの標高の最高地点がこの戸隠高原の戸隠神社付近1236mです。そこへ向かってとにかく自転車を漕ぎ続けます。

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とにかく上り、上りの連続です。ここはがんばりどころですよ!

 急勾配の山道を進んでいると、途中、道の脇の藪がガサゴソ。「えっ、クマ?」と思ったら山菜採りのおじさんでした(笑)。

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戸隠はほんとうに上りがすごい。全コース中で一番の急勾配が延々に続きます。ここに来るまでに脚力を使い切らないように要注意。

あたりはほんとうに山深く、民家などもありません。まさに神々の森を走ります。

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 さて、ひたすら上りが続き、もう限界と思った頃に突然あらわれるのが戸隠神社の中社です。山奥にこんな立派な神社があるなんて、ほんとうにおどろきました! 大鳥居の前には大きなご神木もあり厳粛な気持ちになります。戸隠神社の前、宿坊が建ち並ぶ通りを走り抜けると、こんどは一気の下りです。

 戸隠は野鳥の宝庫としても有名ですが、その野鳥のさえずりを聞きながら「戸隠バードライン」を進み、いよいよ最後の飯綱高原に向かいます!

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戸隠神社の中社の前。こんな歴史を感じるスポットもコースに入っています。

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中社の境内には樹齢700年と言われるご神木があります。

戸隠神社の周辺には宿坊をはじめ、蕎麦どころやお店が並んでいます。とてもきれいな籐製品も見つけました。
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山を一気に下ると気持ちのいい「戸隠バードライン」に出ます。木立や田園地帯の中を進みます。

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戸隠神社に近い蕎麦処「そばの実」(tel.026-254-2102 http://www.sobanomi.co.jp)。こちらでお昼ごはんをいただきました。さすが行列店だけあって、おそばの香りとコシが強く、ホントにおいしかった!(参考)http://www.sobanomi.co.jp

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とろろ、くるみ、出汁の3種でいただく「そば三昧」が人気(1150円)。

森のステージ、飯綱高原 あの山を越えてきた自分に感動する


 さて、斑尾高原からスタートした参加者にとっては最後のステージとなる飯綱高原。この飯綱山(1917m)も、古くから山岳信仰の霊場として知られ、山頂には飯綱権現を祀ってあります。

 戸隠山に比べるとなだらかな姿で、麓にはスキー場やキャンプ場が点在しています。その優しい姿を脇目に見ながら、コースはまずゆるいアップダウンが続き、その先からはどんどん高度を下げていきます。

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後方に走ってきた戸隠山が、コースはゆるやかな上り下りを繰り返し気持ちの良い緑の中を走ります。

 眼下に広がる盆地、そして遠くにはこれまで走ってきた斑尾、妙高、黒姫といった山並みが見渡せます。ここはほんとうに絶景! きっとこの風景を見たら、「あの山をぜんぶ越えてきたのか」って感動しちゃうでしょうね。

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高原の麓にある「大座法師池」。巨人「だいだらぼっち」の足跡だと言われています。

眼下に信濃の田園地帯が広がり、遠くには信越五岳の山々が見渡せます。

 山麓をしばらく走ると、有名なワイナリー「サンクゼール」が現れます。ここもイベントではAS(エイドステーション)になるということで、ちょっと休憩させていただきました。チャペル、レストラン、ショップなどが果樹園の中に点在し、すごくおしゃれで気持ちのいい場所。新鮮な果物を使ったジェラートが最高でした。

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「サンクゼール」(tel.026-253-7002 http://www.stcousair.co.jp/)。ワインのほか、ジャムなどのお土産品も充実。(参考)http://www.stcousair.co.jp/

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とてもジェラートがおいしかった! わたしはブルーベリーのジェラートをいただきました(シングルサイズ400円)。

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 休憩後、ゴール地点である斑尾高原に向かいます。あと少しでゴールなのですが、ここから約20キロはずっと上り坂。去年も「この最後の坂がきつかった!」という参加者が多かったそうです。でも、ほんとうに最後のひとふんばり、ゴールすれば必ずやり遂げたという大きな感動が待っているはずですよ!

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最後の斑尾高原へ向かう坂、ずっと上りです。がんばりましょう!

ヤッター! 坂を登り切ってゴールへ。この感動を皆さんも味わってくださいね!

 今回、コースをまわってみて実感したのは、その風景の彩りの豊かさ。手つかずの自然はもちろん、よく整備された別荘地、水田や蕎麦畑が広がる田園地帯、歴史を刻む山奥の集落、そして神々が鎮座する場所……とにかく125キロ、走っていて飽きないコースなんです。

 たしかにアップダウンは激しく、コースは超ハード。でも、だからこそ急にパッと現れるそうした非日常の感動が何倍にも感じられる———そんな気がします。ほかのサイクリングイベントでは絶対に味わえない充実感が「信越五高原ロングライド」にはあります。みなさん、ここにはすごい感動が待っています! ぜひぜひ参加してみてください!



初代JCAサイクリング親善大使:宇井愛美(ういまなみ)

ファッションモデル、タレントとして、雑誌やTVなどで幅広く活躍する。愛らしい笑顔、愛称は『宇井ちゃん』。5月にはサイクリング親善大使として親書を携えて「バイク・ニューヨーク」を訪問。多くのニューヨーカーと親交を深めてきた。これからさまざまな自転車イベントや自転車教室での活動をはじめ、愛車SOMAのスポルティーフで日本各地を自転車で訪れる予定。

 JCA 参考リンク http://shinetu5ride.org/ 2012/12/20
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