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サイクリングレポート 
楽マジ気分deヒルクライム&ポタリング in 高梁市

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「ヒルクライムチャレンジシリーズ」の開催地、岡山県高梁市へ行ってきました。全長15km、平均斜度2.7%のコースをマジに走り、城下町の面影を色濃く残す市街をポタリング。そこで出会ったたくさんの感動を紹介します。

ヒルクライムチャレンジシリーズ「高梁大会」を先行試走
楽しみながらマジに走った15㎞。ゴールの先の不思議風景に感動!

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コース終盤の坂を、ついついマジに踏んでしまいました

岡山駅で日本海へとつながる伯備 線に乗り換え、特急「やくも」で約30分、備中高梁駅に着きました。初めて訪れる地、「ヒルクライムチャレンジシリーズ・高梁大会」(10月2~30日)が開催されるからこそ、ここに降り立つことができた。そんな一期一会のような気持ち、なんだか素晴らしい出会いがあるような気がします。

「ヒルクライムチャレンジシリーズ」はJCA公認のもと今年からスタートします(9月3-4日新潟県十日町大会、9月24-25福島県喜多方プレ大会)。自転車競技イベントを活用して地域振興を推進していこうと、10年かけて全国47都道府県で開催を目指します。私は、コースの試走と開催地の魅力を伝えるオフィシャルレポーターとして参加することになりました。初心者から本格派サイクリストまで幅広く参加できる大会ですが、「JCA全日本ヒルクライムシリーズ」へ挑戦するサイクリストの登竜門的な大会でもあり、大会上位者には次年度の「全日本ヒルクライムシリーズ」の出場権が与えられるご褒美もあります。

さっそくヒルクライムコースへ向かいます。高梁市内から岡山三大河川のひとつ高梁川沿いに走る国道180号線を新見市方面へ走り、スタート地点の旧高倉小学校横へ。高梁川が川面に光を反射してゆったりと流れています。市内のききょう緑地公園から旧高倉小学校横までの12・3㎞がパレードラン。大会当日、コースへ向かうライダーたちを沿道の人たちが温かく送り出してくれることでしょう。

今回使用するバイクはイタリアンオーダーメイドMURACA。私が自転車競技にすすむきっかけになった埼玉県の「サイクルファクトリーアライ」店主・武田さんの奥様の愛車をお借りしてきました。安心して身を任せられる一体感のあるバイクです。

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MURACAをお借りした埼玉県ふじみ野市の「サイクファクトリーアライ」。地元のスポーツサイクリストたちの拠点。店長の武田さんはボランティアとして陸前高田でパンクの修理を行ってきた

 

旧高倉小学校横をスタートして、県道85号・吹屋街道を進みます。道沿いを高梁川へと注ぎ込む河戸川が流れ、山間を縫うように〝じんわり〟とゴールの吹屋ふるさと村へと上っていきます。全長15㎞、平均斜度2・7%のコース、いきなり視界が開ける「遠原」の景色や鮮やかな花が彩る直線の「フラワーロード」、「五葉峠」の下りを楽しみながら、終盤1㎞あたりから勝負の坂が始まります。コースに対するギア設定は、フロント39とリア16~23、平坦部分はアウターでも対応できるところがあります。心臓を追い込めるだけ追い込むような、出し切るレースができるし、グルペット(※)ができて、最後の400mの上りでゴール勝負!なんてシーンを楽しむことができるかもしれません。もちろん初心者やKIDS、ファミリーも充分に完走できるコースですよ!
※グルペット=ゆっくり走るための集団

そうしてゴールすると、ライダーたちはまるで時空に迷い込むかのように、ベンガラの町並みに導かれていきます。

走ったルートはこちら!

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拡大図はこちら。

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拡大図はこちら。

写真市内から国道180 号線を新見市方面へ進むと、「吹屋ふるさと村」の標識が出る。県道85号へ左折してすぐ、旧高倉小学校横がスタート地点。コースは部分的に狭くなるところもあり、注意が必要
写真急に視界が開けてホッとする。「遠原」はコースの中間地点
写真[左]長い直線のフラワーロード。道ばたの花々も応援してくれる!
写真[右] 五葉峠をすぎるとコース唯一、1㎞の下り勾配がつづく
写真下りのスピードを利用して、元仲田邸前の勾配を上っていく
写真鋭角的にコーナーを曲がったところから終盤の1㎞に
写真吹屋バイパスのゴール前400 mをスプリント、マジきつい!

写真【ウエア&装備】 ●モストロ2万2,050円 軽量コンパクトなプロユースヘルメット(オージーケーカブト)●クラウドジャージ(エレガントプラム)8,925 円 伸縮性、UV カットの素材を活かしたジャージ ●クラウドニッカー1 万1,550 円 長いシーズン着用できるニッカ型ボトム ●ベリッシマグローブ4,725 円 レザーパームで高いグリップ力と快適性が実感●ジオーバ1 万8,900 円 レーススペックの女性専用設計シューズ(以上MAVIC)

 

 

(クレジット)
取材協力・問い合わせ/(株)オージーケーカブト ☎ 06-6747-8031 /アメアスポーツジャパン・マヴィック事業部 ☎ 03-3527-8718 /(有)サイクルファクトリーアライ ☎ 049-261-4623 http://www.cf.-arai.com /高梁市教育委員会 ☎ 0866-21-0425 

ヒルクライムコースを登り詰めて出会う「吹屋の町並み」
ひっそりと、そこは時空のすき間に潜り込んだかのよう

 ヒルクライムのコースを走って、上って、マジに踏んでゴールを越えて、そのままの勢いで走っていくと、いつのまにか道はベンガラ色(赤褐色)の家々が連なる吹屋やの町並みに入りこんで行きます。その不思議さといったら、まるで時空のすき間に潜り込だような感じです。コース試走を終えた私は、ゆっくりとベンガラ色の町並みを探索することにしました。

 道はゆるやかにカーブを描き、両側に外壁も格子も、屋根までもベンガラ色に塗られた家屋が並びます。そもそもベンガラって何? そしてこの吹屋はどんな歴史を辿ってきたのでしょうか。そんなことを考えていたら、吹屋の町並みをガイドする広兼のおじさまが教えてくれました。

 ベンガラというのは酸化第二鉄を主成分とする赤色顔料のこと、インドのベンガル地方で多く採れ、それを輸入したことからベンガラと呼ばれることになったそうです。ベンガラは吹屋が全国唯一の生産地で、陶磁器の染め付けや漆器の下塗りのほか、金属や木材の保護材などにも使われていました。この吹屋の町並みのベンガラ色は外壁や屋根を自然から保護する意味合いがあったんですね。当時は貴重品として扱われていたといいますから、どれだけ吹屋が栄えていたかがうかがえます。

 昭和52年に吹屋の町並みが重要伝統的建造物群保存地区に選定された理由が紹介板に書かれています。そこには吹屋が江戸時代から明治をとおして隆盛を誇っていたことが紹介されています。

 「吹屋は、江戸時代以降銅山とベンガラの街として栄え、物資を運ぶ中継地として、重要な役割を果たしてきた。江戸時代中期に本山鉱山が開かれ硫化鉄鉱を採掘、良質のローハが生産され、これからベンガラが製造された。この二つの産業を背景として吹屋往来に沿って町並みが形成された」と。

 腕のいい宮大工が集められ、町全体をひとつのコンセプトのもとにそれぞれの建物が造られたそうです。郷土館、旧片山家住宅、吹屋郵便局、長尾醤油・酒店、麻田百貨店、吹屋の町並みの建造物を巡っているとつい時間が経つのを忘れてしまいそうです。

 町並みから吹屋小学校へと向かいます。ちょっとした坂を上って、その先を見ると一瞬声をなくすような光景がありました。それはまるで映画のワンシーンを見ているようでした。

 プール、鉄棒などの遊具、校庭で先生と一人の生徒が体操の授業をしています。校庭から石段を登った先に、背景の松林に守られるかのように木造の校舎が建っています。大きな窓ガラス、風雪に耐え、長い時を刻んできたベンガラ色の外壁、明治33年から42年にかけて建てられ、日本最古の現役木造小学校として、いまも7人の生徒が通っています。残念ながら今年度いっぱいで廃校になることが決まっているとか。校庭で授業を受けていた生徒も、ここで過ごした日々を忘れないでほしいなあ。

 そうそう吹屋小学校は夜間になるとライトアップされるらしい、次来るときは絶対見逃さないようにしなければ!

 吹屋をあとにして高梁市街へ戻ります。途中、「元仲田邸くらやしき」で松花堂弁当をいただきました。地元で採れた旬の素材を、さまざまな料理に手を施して出してくれます。

ほんとうに美味しくいただきました。

 さて、明日は市街を巡ります。どんな出会いがあるかしら……。

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[左]建造物は切妻造、入母屋造、平入妻入のものが混在しているといいますが、町並みはみごとに整然としています。赤に塗られた石州瓦、ベンガラ格子、蔵の土壁にもベンガラが混ぜてあるそうです

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[左]店先でいろいろなものが売られています。草ミニホーキ(350 円)や桶を使ったディスプレイには徳利に入った「吹屋のしょうゆ」(900 円)等がありました(その1)

[右]上記(その2)

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[左上] 旧片山邸はベンガラの製造・販売を生業としていた富豪です。中に入ると高い天井、太い梁、大勢いた働き手を賄うための大きな水屋が立派です。目をつぶると、往時のにぎわいが浮かんでくるようです

[右上] 標高550m の山間にひっそりと佇む吹屋小学校。100 年前の子どもたちも、今ここに学んでいる子どもたちも同じ風景を見ているのだろうか

[左下] 吹屋のガイドをしてくれた広兼のおじさま。ベンガラのこと、吹屋の歴史など、たくさん教えてくれました

[右下] 吹屋小学校に隣接した宿泊施設「ラ・フォーレ吹屋」。サイクリングの拠点として絶好です。
☎0866-29-2000

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ヒルクライム大会開催にご尽力なされた高梁市教育委員会を訪問。平田守教育長(右)、梅野誠教育次長(中)、堀節夫スポーツ振興課課長(左)にご挨拶をした。成功させるという強い気持ちをいただきました

 

 

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「元仲田邸くらやしき」庄屋の屋敷を改装して、母家は研修施設に、酒蔵が宿泊施設に、

とても心地の良い時が過ごせます。谷文晁や英一蝶の軸が飾られている土蔵も必見。食事・宿泊とも要予約。☎0866-29-2118

[左上]数寄屋風の長屋門、庄屋屋敷の様式をとどめる文化的建造物として保存されている「元仲田邸」

[中上]高キビ、こんにゃく、ゴマ豆腐といった地元の旬の食材を使った松花堂弁当(1,575円)

[右上]母屋を改装した和室で、ゆったりとおいしい料理を堪能できる

[左下]太い梁、白い壁、和のテイストにあふれた宿泊施設(一泊大人3,150円)

【ウエア】●スウェットキャスケット990円 柔らかな手触りのスウェット素材を使用。立体感のある丸いフォルムがキュートな印象に●プリントストール1,500円 首元にアクセントをつけるときに●ボーダーチュニック1,990円 華やかな印象を与えるボーダー柄チュニック●ボーイフレンドデニムクロップ2,990円 自転車に乗るときに最適な7分丈●スティーロンショルダーバッグ1,990円 軽量で強いオリジナル素材のショルダーバッグ●プレミアムリネンピンタックスモック2,990円 さらさらと肌触りの良いスモック(以上すべてUNIQLO)

(クレジット)
取材協力・問い合わせ/UNIQLO(0120-090-296)

備中松山城、武家屋敷通り、頼久寺通り、紺屋川通り、本町町屋通り城下町の面影を残す高梁の街をポタリング

走ったルートはこちら!

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拡大図はこちら。

 北から南へと流れている高梁川の東側に街は広がっています。ちょうど伯備線を挟んで山側が武家・寺院のエリア、川側が商家・町屋のエリアというところでしょうか。

 2日目は城下町の面影を残す高梁の街をたっぷりと味わいたいと思います。

 まずは市民に「おしろやま」の愛称で親しまれている市街地の北端にそびえる備中松山城へ向かいます。お城好きの私としては、ここははずせないポイントです。標高430mの臥牛山に建つ天守は国の重要文化財で、現存する天守をもつ山城では最も高いところにあると、パンフレットに書いてあります。「天守はけっこう小さくて、がっかりするかもしれないな」と地元の方にいわれましたが、ほんとうはどうなのかこの目で確かめなくちゃ。

 ふいご峠へと上っていきます。がんばって走ると青々とした棚田に出会いました。思わず立ち止まって思い切り朝の空気を吸い込みました。指先まで酸素がスーッと運ばれてくるのを感じます。ふいご峠に着きました。自転車に鍵をかけて、ここから700m、徒歩でお城を目指します。無料の杖があったので拝借しました。これがあると歩くのが楽になるんですよね。

 木々の間から市街が望め、確実に高さを増しています。ふいに斜面を利用するかたちで切れ上がった石垣が現れました。そびえるような石積みは迫力満点です。天守は二層二階の建物でたしかに小振りなものでしたが、十分に歴史の重みを感じさせ、それにも増して臥牛山全域を要塞とした、その壮大なスケールにぐっときてしまいました。

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[左] 二層二階の備中松山城の天守、近くで見るとやはり立派です

[右] 棚田の素晴らしい光景を見ながらしばし休憩

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[左] ふいご峠から徒歩で急な山道を上ります。見上げる石垣が出現(その1)

[右]上記(その2)

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天守の内部、重厚な木組みの構造、籠城のための囲炉裏が切られている

 備中松山城をあとにして、小堀遠州作の庭園のあるお寺として名高い「頼久寺」へと向かいます。中に入るとサティのジムノペティ第1番が流れるなか禅院式枯山水蓬莱庭園の説明を聞くことができます。とてもゆったりした気分になりました。

 どこからもお城の姿を望みたいというのが、城下町の心意気というものなのでしょうか、市街の南東の端に「城見展望台」という場所があります。映画「バッテリー」の映画ロケ地になったところ、次はここを目ざします。お城だけでなくゆったりと流れる高梁川、市街地が一望できる絶景ポイント、ただ展望台に上るには手前に360度螺旋状に回るループ橋を上らなくてはなりません。なんだ、結局今日はヒルクライムを2本やったんだわ、私。

 白壁がつづく武家屋敷通り、寺院の連なるエリアには、映画「男はつらいよ-口笛を吹く寅次郎-」のロケ地「薬師院」、城壁のような石垣造りの「松連寺」といった見逃せない場所が点在します。商家筋のほうに下ると、「高梁市商家資料館」のある「本町町屋通り」、柳がゆれる日本の道百選「紺屋川通り」、岡山県最古のキリスト教会「高梁市基督教会堂」など、こちらも見どころがいっぱい。高梁の名産がいろいろ見つかる「観光物産館 紺屋川」では、名物「ゆべし」(24個入630円)、「ゆずみそ」(420円)などのほか「白桃カレー」「ニューピオーネカレー」「桃太郎トマトカレー」(いずれも525円)といった岡山県らしい珍しいカレーが置いてありました。

 自転車にのってポタリング。阿曽屋小路、左福屋小路、菊屋小路、昔の商家の名前を冠した小路を曲がり、路地に入り込んでみると、思わぬ発見が。ほんとうに楽しい1日でした。そうそう、市街から6kmほど西へいったところの「朝霧温泉ゆ・ら・ら」はリフレッシュオープンしたばかりの健康増進施設。サイクリングでひと汗流したあとは、ここでリフレッシュするのがおすすめです。

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[左]商家資料館で雨宿り。中は八代当主がはじめた醤油造りの工程を解説する道具などを展示

[中] 城見展望台は「バッテリー」の撮影現場になった。「城見展望台」とそこに至るループ橋(その1)

[右] 上記(その2)

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頼久寺の禅院式枯山水蓬莱庭園、思わず見入ってしまいます

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「男はつらいよ」のロケ地になったと知らせる薬師院前の石碑。高梁市には映画ロケ地が多い

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白壁が続く武家屋敷通りをポタリング

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城壁のような石積みをした松連寺の前を走る。石垣の高さがわかる?

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「シャトー」のバケツパフェ、これは10 人で取りかかってちょうどです

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チャイをいただいた「堕天使工房」。となりの猫トラオは座りながら船をこぐ特技あり

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大正時代の町屋を改装した「Café de 紅緒」。珈琲(自家焙煎)のいい香りに誘われます

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名物ゆべしのほか白桃カレーやニューピオーネカレーもある高梁のお土産処「観光物産館 紺屋川

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[左] 明治22年建設の岡山県で一番古いキリスト教会堂

[右]江戸時代の面影を残す高梁市をぜひ自転車でめぐってみてください。きっといろいろな出会いや発見がありますよ



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サイクリスト:森田正美(もりたまさみ)

元日本を代表するロード選手。サイクリングの楽しさを伝えるサイクリングナビゲーターとしてさまざまなイベントなどに出演。「サイクリングジャパン」で毎号ツーリング特集を担当。「ヒルクライムチャレンジシリーズ」では競技アドバイザーを努める。

 JCA 2011/07/01
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